データで見る国際比較と、
大人の幸福度とのつながり
「日本の子どもは、自己肯定感が低い」——よく耳にする言葉です。
幼児教育を専門とする鈴木正敏教授(兵庫教育大学)も、「国際比較で見ると、日本は断トツで低い」と話します。
では、それは実際、どのくらいなのでしょう? そして、それは大人になった後と、関係があるのでしょうか。2018年から最新の2023年まで、そして大人の幸福度まで、順番に見ていきます。
この記事の要点(30秒でわかる)
- 2018年の国際調査で、日本の若者の「自分に満足」は45.1%。調査した7か国で最下位。
- 最新の2023年調査では57.4%に改善(+12.3ポイント)。ただし、5か国のなかでは依然として最も低い。
- つまり、一部改善は見られるものの、傾向として、日本は先進国のなかで低く出る。
- 背景には「奥ゆかしさ・謙遜」という文化的な面もある。ただ、それだけでは説明がつかない。
- 大人の幸福度でも、日本はG7で最下位(2025年・世界55位)。子どもの自己肯定感と、大人の幸福は、無縁ではなさそうです。
まず結論:日本は「自分に満足」が、いちばん低かった(2018年)
内閣府が2018年に実施した、日本を含む7か国の若者(13〜29歳)の意識調査があります。
「私は、自分自身に満足している」——この問いに肯定的(そう思う+どちらかといえばそう思う)に答えた割合を、国ごとに並べると、こうなりました。
「自分自身に満足している」割合(2018年・7か国)
出典:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成30年度/2018年実施)
ひと目で分かります。他の6か国はすべて7〜9割。そのなかで、日本だけが45.1%と、半分にも届きません。
出典:内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2018年)
同じ調査では、「自分には長所がある」62.3%(これも最低)、「自分は役に立たないと強く感じる」51.8%(約半数)という結果も出ています。
2023年の調査では、改善している
ただ、この45.1%は2018年の数字です。最新の2023年調査には、続きがあります。
2023年、こども家庭庁の調査(日本・アメリカ・ドイツ・フランス・スウェーデンの5か国)では——
日本の「自分に満足」は、57.4%まで上がりました。(2018年の45.1%から、+12.3ポイント)
この間、他国はスウェーデンを除いて低下。日本だけが上昇し、差は縮まっています。
ただし、日本は5か国のなかで、依然として最も低い水準です。改善はしても、傾向としては、やはり低く出る。それが実際のところです。
出典:こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」(令和5年度/2023年実施)
「奥ゆかしさ」だけで、片づけられるか
なぜ、日本はこうも低く出るのでしょう。
ひとつには、文化的な理由があります。日本人には、「まだまだです」「いえいえ、私なんて」と、あえて控えめに答える奥ゆかしさがある。「自分に大満足!」と胸を張るより、謙虚を良しとする。だから数字が低く出やすい——これは、確かにあります。
実際、政府の報告書自身も、「自尊感情が低いことが直ちに問題なのかは、文化差も含めて慎重に検討する必要がある」と注意を促しています。
ただ、文化だけの話とも言い切れません。大人になってからの数字に、気になるつながりがあるからです。
子どもの自己肯定感は、大人の「幸福度」につながっている
まず、今回の調査自体が、こんな関連を確認しています。
自分への満足度が高いこども・若者ほど、生活満足度や幸福感も高い(令和5年度調査より)
そして、大人になった日本人の「幸福度」を見ると——
国連の世界幸福度ランキング2025で、日本は世界147か国中55位。G7(主要7か国)のなかでは、最下位でした。(2回連続)
G7の幸福度ランキング(2025年)
出典:World Happiness Report 2025(国連・持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)
子どもの自己肯定感の低さと、大人の幸福度の低さ。この2つが、同じ形で表れています。
片方がもう片方の原因、と単純に言えるものではありません。文化も、経済も、社会のしくみも関わります。それでも——「自分は自分でいい」と思える力は、子どもの頃だけの話ではなく、その人が一生をどう感じて生きるかに、つながっているように見えます。
じゃあ、どうすればいい?——カギは「幼児期からの積み重ね」
希望もあります。鈴木教授が、はっきり教えてくれました。
ちっちゃい頃は、みんな自信がある、ということ。「これが好き!」も、はっきり言える。それが、成長とともに、だんだん言えなくなっていく。
だからこそ、幼児期からの、小さな積み重ねが効いてきます。
- 「これが好き」「これができた」を、否定せず、受け止める。
- その子の歩んできた道のり(過去)を、ちゃんと残す。
鈴木教授によれば、自己肯定感の土台は、「自分の歩んできた過去」。過去がしっかり残っている子ほど、「今の自分」が揺らがない。その具体的な話は、こちらの記事で紹介しています。
▶ 子どもの絵を残すと、自己肯定感が育つ——鈴木正敏教授インタビュー
私たちキッズアートにできること
子どもの作品を残すことは、片づけではなく、その子の「自分は自分でいい」を支える、心の土台づくりです。そしてそれは、その子の一生の幸福——私たちまんてんグループが願う「満点の人生」——に、そっとつながっていきます。
キッズアートは、かさばる作品を、時系列で“育ち”が見えるアーティストブックに。「こんなに大きくなったね」を、親子でいつでも見返せます。
▶ キッズアートの特長
よくある質問(FAQ)
Q. 日本の子どもの自己肯定感は、世界で最下位なの?
A. 2018年の内閣府調査(7か国)では、「自分に満足している」が45.1%で最下位でした。2023年の最新調査(5か国)では57.4%に改善しましたが、依然として最も低い水準です。一部改善はあるものの、傾向として低く出ます。
Q. 自己肯定感が低いのは、日本の文化のせい?
A. 謙遜を良しとする文化的な影響はあります。ただし、大人になってからの幸福度(世界幸福度ランキングでG7最下位)にも同じ傾向が見られます。文化だけが理由とは言い切れません。
Q. 子どもの自己肯定感を育てるには?
A. 幼児期からの積み重ねが大切です。「好き・できた」を受け止め、その子の過去(作品や思い出)を残していくことが、自己肯定感、ひいては将来の幸福感の土台になると考えられます。
出典
- 内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(平成30年度/2018年実施。日本・韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデンの13〜29歳)
- こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」(令和5年度/2023年実施。日本・アメリカ・ドイツ・フランス・スウェーデンの13〜29歳)
- World Happiness Report 2025(国連 持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)